
写真2枚:長女のある日のご飯 机片付けてby母
児童文学は大人になってから読んだ方が面白い、と思うこと自体がもう子供には戻れないということなのだろうが、「魔女の宅急便」の原作が好きだ。
夫と私は大学から独り暮らしをし、大学時代が最高に楽しかったし、独り暮らしで精神的に得るものが多かったので、子供は大学生になったら家を出そうと話していた。長女が2歳くらいの時だ。できれば地方の国立大学が良いけれども(経済的に)、都内で実家から通える学校でも出そうと決めていた。よって、長女が2歳くらいの頃から、「独り暮らしするには何でも自分で出来ないと」と言って、いろんなことをやらせて育てて来た。
次女も生まれて数年経ち、すっかり良くお手伝いをする子に育っていたある日「魔女の宅急便」の原作と出会った。それからは呪文のように「キキみたいに13歳になったら独り立ちするんだよ」「料理も掃除も出来ないと、キキになれないよ」と二人の娘に言い聞かせ、生活に必要な知識と技能を叩き込んだ。「魔女の宅急便」を読み聞かせる度に、キキを称賛し崇め、失敗したときも、辛いときも、嬉しいときも、悲しいときも人との関係を大切に工夫して生きていくキキの物語を子供たちの将来と重ね、いつのまにか我が家のバイブルとなった。
この「魔女の宅急便」の良いところは、シリーズになっていて、キキの成長に寄り添えるところだ。子供たちはそれぞれ5.6歳くらいからは、自分で読むようになり、海外で暮らしていたこともあり、何度も繰り返し読んだ本だ。
三つ子の魂とは凄いもので、小さい頃は「ママと離れるのはさみしい」くらいのことは言っていたはずなのに、ある年齢から「独り立ち」は長女の「使命」となり、中学生頃には「権利」となった。「独り立ち=自由」みたいな。高校生になると、友達に「大学は独り暮らしするんだぁ~」と言っていたらしく、友人お母さん達に「女の子なのに心配じゃないか」と良く聞かれた。
心配かどうか、と言えば、心配がないとは言わないが、たいして心配ではない。自分が大学で独り暮らしをしてすぐに、家に泥棒が入ったことがあったり、下着泥棒にもあったりと独り暮らしの8年間で結構な経験をしているので、彼女の家は学校や駅までの道順や立地、周辺住民など色んなことを考慮して決めたし、そもそも心配してもしょうがない。自立させるために出すのだから。自分で対処するだろうし、不安だったら誰かに相談するだろう。
彼女は去年の独り暮らしスタートから十二分に独り暮らし生活を満喫し、小さな城で収納ややりくりを工夫しながら暮らしている。とここまで読むとさぞ順調な子育てのように思えるかもしれないが、当たり前だがそんなわけがない。何度となく取っ組み合いのバトルを繰り広げてきた。親の思うようになんてなるわけがないし、思うようになっても困る。彼女の人生なのだから。彼女が考えて選んでいくしかない。
もう帰ってきてはならぬと育てているので、卒業後今度はきちんと経済的にも自立して欲しい。が、目下のところの問題はグータラ次女である。人がいるから甘えるし頼るわけだから、さっさと家を出すしかない。あと1年半。22年ぶりの「私」の独り暮らし実現となるか。

[…] 大学1年で一人暮らしを始め、家を出て行った。まだ文字も読めるか読めないかの時から、「魔女の宅急便」の読み聞かせをし、繰り返し「○○(長女)もcocco(次女)も13歳になったら、キキみたいに独り立ちしないといけないんだよ」「洗濯も掃除も料理も、何でも自分で出来ないといけないんだよ」と育て、予定通り18歳で家を出た。 […]