
3年半前に今の家に移ったのが23回目の引っ越しだ。海外引っ越しと国内引っ越し、近距離の引っ越しも含んでいるのだが、単純計算すると2年に1回家が変わっていることになるので、今この家に3年半も住んでいるのはとても長い。
長女は去年独り暮らしのため家を出たのが11回目の引っ越しだ。次女は10回。子供たちは「ママは引っ越しが趣味だ」という。当たり前だが趣味なわけはなくとても大変だ。しかし、あまりにも引っ越しが多いため、正直今はどこかにまた引っ越したいと思っている。完全にジプシー体質になっている。一つのところに長くいられないのだろうか。
国内外問わず、新しい土地はワクワクする。風土・気候的な違い、文化的な違い、食べ物の違い、時には言葉の違い、自分の知らないことに直面していくのが楽しくて仕方がない。元来の性格なのか、育った環境なのか、人見知りはしなくて誰とでも話せるし、「食わず嫌い」がないので、食べ物にしてもアクティビティにしてもとりあえず何でもチャレンジするので、どこへ行っても楽しい。幸いとても健康で、割と体力もあるので、今のところ気候の変化にも対応できている。
今までは家族での引っ越しがメインで、海外への引っ越しともなると、荷物を大きく4つに分類しなければならない。1.トランク預け荷物 2.船便 3.航空便 4.手荷物 子供が小さいときは本当に大変だった。出発ギリギリまで使うもの、アレルギーがあったので食べ物、気候が変わるので着るものなど、規定の重量に収まるようにしなければならない。大人だったら「買えば良い」で済むだろうが、そもそも現地で日本と同じものが売っているかどうかもわからないので、歯ブラシ、歯磨き粉、石鹸に至るまで、ものすごく神経を使った。実際現地へ行ってから「日本から持ってくれば良かった」という品物は多い。
しかし、家族で大移動というそんな時代はもう2度と訪れない。子供たちも手を離れてもう少しで自由の身だ。さすがに23回も引っ越しをしているので、人様の家と比較して我が家は物が少ない。少ない方だがそれでも普通にある。実際に実行できるかはかなり疑問だが、「ミニマリスト」と世間では呼ばれている人たちの生活がいいなぁと思う時がある。今この家にあるほとんどのものを手放して、バックパック一つでどこにでも行ける生活ってどうなのだろう、と。リモートワークの時代、どこで生活しても基本大丈夫だ。去年なんて出張が多くて、小さいトランク一つでいろんなところへ行っていたが確かに何も困らなかった。
ゲストハウスにバックパック生活は難しいにしても、土地の安いところに移り住んで、キャンピングカーで全国を旅するのはどうだろう。次女が出て行ったら一人で住むには広いこの家を人に貸して、どこでどんな風に新しい生活を始めようか、、、と度々想像する。考えるのは自由だし、アイディアも候補も無限なので楽しい。
近い将来のために、もっと物を減らそう!と整理整頓をする。しかしながら、かなり絞られて、選び抜いた品々を目の前にするとさすがにこれ以上捨てることに迷いが出る。この壁を乗り越えることが第一関門であり、修行なのだろう。
想像するのは簡単だが、実行するのは難しい。現実とはそんなものだ。日々鍛錬。煩悩との戦いだ。
