
聞きたいことがあって、久しぶりに大学の友達にSNSで連絡した。要件はシンプルだったので、すぐに用事は済んだのだが、世間話というか近況を報告しあって1時間くらいSNSで文字の会話をした。
文字とは面白いもので、実際に会って話すのと文字の世界だと全く違う人がいる。電話での会話と会って話すのとでも違う人もいる。
久しぶりに話した友人は目の前で会話をしているかのようだった。実に心地良い。口癖とか間合いとか合いの手も、一緒に飲みに行っているかのように軽快に画面に言葉が送られてくる。もっと言うと大学時代と変わらない。話している内容は子どもの進路の話や仕事のことなのに、不思議と大学生気分になる。同級生とは良いものだ。
「手紙」というエッセイにも書いたが、推敲しない文とスタンプは気軽で、割とすぐ返事が来てとても便利だと感じる一方、時に垂れ流している文字に「これでいいのか」と思うことがある。でも、その日の短い文のやり取りはまさに言葉の「キャッチボール」で、ワイワイと話をしている感覚だった。言葉を慎重に選びすぎず、ポンポンと飛び交う言葉には活気がある。気心が知れている仲だからこそだろう。
今年は極端に友達と会う機会が少ないからか、大した話をしたわけではなかったが、すごく楽しくてホクホクした気分で眠りについた。
そして、もうひとつ面白いと思ったことは、彼とは仲間内で飲みに行っても、二人でじっくり話すことはあまりない友人である。だから軽快に画面の中でゆっくり話すのは、今までにない実に新鮮なやり取りだった。この未曾有の状況でなければ訪れなかった機会である。
なかなか明るいニュースが飛び込まない今日この頃だが、旧友と文字で親交を深めるのも悪くない。SNSでも手紙でも。まだ続くであろうこの状況だが、思わぬところに新たな楽しみがあるのかもしれない。