満天の星(後編)

white sandy coast washed by foamy blue ocean
white sandy coast washed by foamy blue ocean
Photo by Lachlan Ross on Pexels.com

満天の星(前編) 満天の星(中編)からの続き

翌日は快晴だった。たっぷりの睡眠とたっぷりの朝食を取った私たちはいそいそとビーチへと向かった。大人が私しかいないので、荷物は小さいリュックに入る水とタオルと少しのお金、そして浮き輪だけ。ホテルの目の前がビーチなので、何か必要になったら部屋に戻ればよい。

離島の海の青さとまではいかないが、どこまでも続く海岸線に私たちは大はしゃぎだった。馬もいる。外国人はほとんどいなくて、南国国民がメインだ。思っていた通り、外国人ターゲットの観光地ではなく地元感が溢れているアットホームなビーチ。とても心地がいい。隣の有名観光地ではなく、ここを選んで良かった。苦労して?来た甲斐があった。

打ち合わせていた時刻になっても夫は現れなかった。普通多少心配するところだが、夫は前日駅で自分の列車の切符も買っていたので、列車で来ることになっている。あの列車だ。定刻通り来るわけがない。しかも20代の大人で、仕事用の携帯電話も持っている。どうにでもなる。全く心配していなかった。予定より2時間程遅れて夫と合流した。

前の日の電話では「電車が大幅に遅れた」とだけ伝え、詳しいことは会ってから説明すると言ったので、一連の話を夫にした。夫は何故あんな夕方の列車で3人を行かせてしまったのかと後悔し、自分がどれだけ心配したかを私に訴えた。夫が止めたところで、多分私は「大丈夫」と言って列車に乗っていただろうと思ったが、口にチャックをした。

私とは波打ち際と浅瀬でしか遊んでいなかったので、夫が合流して海の深いところでも遊ぶことができ、子供たちは大喜びで大満足だ。いつも思うことだが子供を見るときは子供の数より大人の数が重要だ。子供が1人だろうが5人だろうが、大人が一人だと身動きが取れない。でも大人が最低2人いれば、子供が10人だろうが(年齢にもよるが)片方が買い出しして、もう片方が荷物と子供たちを見ることが出来るのだ。

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きれいな海、澄んだ空気、満天の星、数日そのビーチでの休日を満喫し、また首都へ戻った。帰りは行きの移動を教訓にしてバスで帰ることにした。乗り過ごすことはあり得ない首都行のバスで私たちは熟睡した。3時間くらいの移動だった。その後、首都で最後3日間くらい過ごしA国へ戻る予定だ。その間に大学の友人で南国に赴任しているMくんに会うことになっている。

Mくんに列車遅延事件?の話をした。Mくんは、駐在員はその距離なら運転手付きの車で行くし、留学生や現地採用の人は長距離バスで行くと言った。列車の時刻表などあってないようなものだと。そして、子連れで列車移動する外国人など聞いたことがない、と。しかも母だけで。私もそんな駐妻聞いたことがない。私の性格を良く知っているMくんは、「○○(私)らしいよね、相変わらず冒険するね。運がいい。」と呆れていた。私は「ここの国の人たちって親切だよね!!!」と返した。

色んな教訓と人の親切に触れた旅だった。あの青年に本当に感謝だ。現在彼は30代半ばだ。夢は叶えただろうか。結婚して家族を持っているのだろうか。旅先で残念だったり、失敗したりした思い出がないわけがない。でも思い出すのはこういう暖かい人との出会いや絶景ばかりだ。旅行できれいな星空を見るたびに思い出す。あの青年と線路の上で見た満天の星を。

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10件のコメント

  1. 私の頭の中は、CoccoCanさんご家族がモノクロで写っています。
    旦那さんが、皆さんと合流してホットした表情を浮かべながらCoccoCanを見つめている姿。
    でも、私はそれなりに楽しみながら来たわよ 
    という感じでしょうか。
    様々な情景が浮かんできて
    楽しかったです。

    1. 楽しく読んでいただいてありがとうございます☆
      「何とかなる」「何とかする」ことしか考えないですし、海外で有名な観光地も素晴らしいですが、ローカルな場所も素朴で大好きです♪

  2. 素晴らしいビーチですね。今までの不安が去って思い切り楽しめて良かったです👏
    旅先で受けた親切は一生忘れない想い出になりますね。子供さんたちも一段と逞しくなられと思います(*^_^*)

    1. 写真はPixelから選んでいるのですが、1枚目の写真のような雰囲気のビーチでした。
      旅先の親切は一生の思い出で、その国が大好きになります☆ 子供たちにとっても思い出の国です♪

  3. こんばんは(^^)
    親切な大学生に出会って、無事目的地に着けて良かったですC=(^◇^ ; ホッ! 目的地に着いた安心感で満天の星空がより美しく印象的に見えたのではないですか。
    ご主人と無事合流出来て、子供さんと楽しんでるCoccCanさん一家の笑顔が見える様でした。
    海外の満天の星空想像がつきます。私の場合仕事で海外へ行くと、大都市よりも田舎の町が多かったので満天の星空をよく見ました。
    言葉の通じない国を移動する時の不安はメチャ分かります。ろくに英語も喋れないのに初訪米で途中から一人で移動する事になった事がありました。その時、何人かの親切な人のお蔭で無事に目的地へ着けた事は忘れる事が出来ません。

    1. 星空を期待していなかったのと(というか、それどころではなかった)安堵と子供たちが大喜びだったので、星空はより美しく感じました。

      色んな人の親切に触れると旅の疲れも吹っ飛びますし、喜びも倍になります♪

      アメリカも国土が広いから移動は大変ですよね!!しかも、スマホ時代ではありませんから。

  4. […] 次回後編へ […]

  5. […] 次回中編へ その後 後編へ […]

  6. 現地在住のお友達も列車には乗らない・・・
    凄い冒険?でも良い青年に出会って、無事到着でしたから
    良かったですね、良き思い出・・・・

    1. 学生の頃から、ローカルな乗り物で旅するのが好きで、その国の人と同じ目線で旅できるというか、、、でも、夜の移動はよろしくねいですね。反省です笑

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