悩ましい

「なくても良い家電」にも書いたが、我が家が電子レンジを使わなくなったのは2007年くらいから。そして完全に消えたのは2009年だ。日本に帰国してからだ。トランクルームに預けていたオーブン電子レンジはかなり高いものを購入したのに、結局友達にあげた。あげてしまったので、A国から帰国してから電子レンジは家にない。

18歳で独り暮らしを始め、「自分のキッチン」を持つようになり、電子レンジの簡単レシピをいくつも考案するほどレンジを多用していた。でも、とある理由から使わなくなった。

使わなくなって先ず良かったことは場所を取らない。うちには炊飯器もないのだが、電子レンジと炊飯器がないと台所はスッキリする。電気ポットも人にあげた。コーヒーメーカーもやめた。お弁当のブロッコリーや小松菜などの野菜は、毎朝の味噌汁を作るときに茹でてしまう。

味噌を入れる前の出汁の中で茹でるので美味しく仕上がる。人参も一緒に茹でてしまう。小松菜と油揚げを出汁の中で加熱して、器に醤油と砂糖を注いで混ぜ合わせるだけ。これで弁当一品。人参も茹で上がってくる。高野豆腐や厚揚げもこんな感じ。豚肉の薄切りもしゃぶしゃぶして味噌ゴマダレで和える。乾燥わかめやとろろ昆布を下に敷けば汁漏れもしない。

三つ口コンロの一つはご飯を炊く土鍋、一つは鍋で味噌汁と茹で系のおかずを同時進行、一つはフライパンで肉を焼いたり、卵焼きを作ったり。たまにグリルで魚を焼く。効率も動線も良い。

電気代はきっと安い。月々夏でも3000円しない。冬だと2500円もしない。

でも!!!こうも年々気温が上がってくるとめげてくる。電子レンジが勝手に調理してくれることに憧憬の念を抱く。コンロの前に立たなくてもいい。残り物を温めなおすときも、洗い物が増えないし、速いし、、、と思う。

単身赴任の夫も長女も同じだ。長女は友達に「何で電子レンジがないんだ???」と幾度となく問い詰められたらしい。長女はシレっと「まぁずっとないからね。なくても困らないし。」と動じない。ご飯も冷凍しない。ガスで炊けば15分だ。その15分でおかずを作ればよい。

この暑さに打ち水をしていると次女が「何時代の人？」と言ってくる。彼女は独り暮らしをしたら真っ先に電子レンジも炊飯器も買うだろう。大学生になる娘が自分で買う電化製品をとやかく言うつもりはないが、文明の利器を手放し、せっかくいいペースで10年以上暮らしているのに、この夏の暑さは憎たらしい。

タイは朝8時と夕方6時に国歌を流す。全員が立ち止まる。そんな風に、毎日全員が同じ時間？に打ち水したら、涼しくなるのでは？と、まだ梅雨が明けたばかりなのに、そんなことまで考えるほどこの暑さは悩ましい。