立場変われば

大学生のころ独り暮らしをしていたのだが、週末や長期休みになると、友達としょっちゅう熱海・伊豆・箱根の方へ行っていた。西湘バイパスを使って、伊豆や箱根方面へ。泊りで行くこともあったが、ふらっと思い付きで行くことも多かった。温泉に浸かって帰って来る、そんな楽しい大学時代を過ごしていた。

スマホはなく、携帯を持っている人もとても少ない時代だったが、誰かが「今から真鶴行くよ」とか「箱根行く人?」と声を掛けると4人くらい集まり、多い時には車2台で私たちはどこへでも行った。お金はないが時間は沢山あった大学時代。みんなで運転を交代しながら、ふらっと袋田の滝へ遊びに行ったことも。

昼間の西湘バイパスは海の上を走っているみたいで、とても気持ちが良い。キラキラと光る海岸線を眺めながらの絶好ドライブスポットだ。自分が運転するよりも、遥かに多く誰かに運転してもらっていた記憶のあるコースだ。20歳前後のあの頃は、そう「絶景のドライブスポット」と思っていた。

旅先の地元食材でアレコレと料理をするのが大好きなので、私たち家族は10数年前からキッチン付きのホテルや民泊を国内外問わず好んで選んで旅行してきた。今年は夏に氷見の民泊で炭火を堪能したのに引き続き、夫が見つけた「海まで徒歩1分」の場所でワーケーションをすることにした。本当は完全なるバカンスにしたいのだが、まぁ試しに、、、ということで、海が見える一軒家でワーケーションを。

海はとてもきれいだ。透明度がすごい。そもそも川の水が澄んでいる。都心から在来線で1時間半もかからない場所にこんなに美しい海が広がっている。そう、そのきれいな海がドドーンと一望できる宿なのだ。しかし、、、

砂浜にデーンといくつものコンクリートの柱が海沿いにずっと続いている。その上を走るのはまさに「西湘バイパス」である。本来ならば静かな町で、波の音とウミネコの声くらいしか聞こえなかったはずの場所。海と空の青さを名一杯感じられた場所。その海と空の間にコンクリートの物体と24時間車やトラックが通過していく。何と言うことか。

「絶景のドライブスポット」と思っていた大学生の自分を今さらながら恥じた。ここが自分の生まれ育った場所だったり、現在住んでいる土地だったりしたら、、と思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

ピュンピュン車やトラックが走っていても、海の美しさは変わらない。磯の香りも透明度も変わらない。でも、原風景を思い浮かべると悲しくなってしまった。

日本の至る所、きっと海外の至る所にこういう場所があるのだろう。知らないだけで、知ろうとしていないだけで。便利さの陰で失われてしまった原風景に思いを馳せながら、美味しい空気をいっぱい吸って、美味しい水で入れたコーヒーを飲んで、海を眺めながら朝食をとる。

立場が変わるとこんなにも色んな見え方が違うのだと、改めて実感した。きっと目に見えるものだけではなく、見えないものも立場が変われば見え方は大きく変わるのだろう。改めて、色んな視点を持つこと、多角的に物事を見ることの大切さを知った。

また来るね。素敵な宿である。

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4件のコメント

  1. 動画…映画のワンシーンのような美しさです。”夕方”の写真に写っているのは、もしやCoccocanさんの干しネットですか?

    “便利”の陰には結構代償が潜んでますよね。でも結局その便利さが優先されて、大切にしたいものがどんどん失われていく。今の世の中はもう十分便利なので、これ以上進化して欲しくないと時々思います。本当に必要な医療の進歩以外は。

  2. 私も学生時代以降ちょくちょく東伊豆界隈まで行ってました。小田原辺りから下田付近まで、あの近辺には懐かしい思い出が沢山あります。
    基本的には小田厚経由で行ってた口なので、西湘バイパスと言えば石橋付近の渋滞くらいしか覚えていませんが、都内住で無くなってからは何度か利用するようになりました。
    はるか昔の話ですが、もしかしたらすれ違ったことがあるかもしれませんね(^-^)

  3. 私も若い頃は誰かがクルマの免許を取ると「箱根行こう!」が定番でした。ケータイが無くても、良くみんなで待ち合わせして行けたなぁ!と感心しちゃいます。ワーケーション?素敵ですね!干物の籠があるー♪と気になってしまいました😊

  4. (‘-’*)オハヨ♪ございます。
    私の場合は職場の旅行や忘年会で伊豆地方へは良くいきました。車を持ってる友人がいなかったのでちょっと出かけるという事はなかったです。
    写真に写ってる場所は何度か女房と散策した事があります。確かに車の音はこの場所にはふさわしくないですね。
    定年してからは何時でも出かけられると思ってたのですが、せいぜい小田原まで行くのが精一杯になりました。小田原漁港付近の食事処は海の幸が美味しいですね。

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