過去との折り合いの付け方

books piled up on the table
books piled up on the table
Photo by Polina Zimmerman on Pexels.com

一人暮らしをしていた娘が入寮するので、いらなくなった荷物が我が家に来た。新たな収納は増やしたくない。戻ってきたものを収納するには、今あるものを捨てるしかない。

先週の書籍類のゴミの日に間に合わせるように、段ボール一つ分の私が社会人になって勉強した大学の教材を捨てた。海外で子供たちが小さく、食べる時間を惜しんで勉強していた日々。通訳のバイトをしながら、現場の待機時間に勉強したこと。帰国して働きながら、レポートを書いたり、スクーリングに行ったりしたこと。苦しかったけれども、充実していたことを思い出しながら捨てた。

びっしりと書き込みがされている教科書やノートを捨ててしまうと、自分の努力がなかったことになって捨てる勇気が持てずにいた。何冊もある教科書とノートの書き込みだけが、私の努力を証明してくれるような気がしていた。

海外で大学に通っていた頃は、勉強して痩せた。高校受験、大学受験の時は少し太ったはずだ。部活をやめて勉強に集中するというのもあるが、それ以上に親が世話をしてくれたからなのだ、と初めてわかった。子供でいられたころは「勉強だけしていられる環境」があったのだ。

家事と育児、テンポラリーに来る通訳の仕事、そして大学。睡眠時間を削ると授業で眠たくなってしまうので、これは削れない。当たり前だが、家事と育児の時間も削れないし、仕事が入ればしっかりと下準備をしなくてはならない。となると、食べる時間を削った。食べる量が少なくなったわけではないのだが、とにかく身体も頭もフル回転させていたら、痩せたのだった。

子供たちのものを整理するときには写真に撮って捨てるのだが、大量の教科書とノートとはそっとお別れした。教科書もノートも、もう難し過ぎて分からない内容も沢山あった。またこの分野を勉強したければ、新たに教科書を買えば良い、と自分を納得させた。

いつか来る「死」を前に、できるだけ自分で処分しなければ。数年前から「すべて捨てる」などとラベリングをして、自分が死んだときに家族が中を見ることもなく、捨ててもらうものをまとめている。これからもっと、わかりやすく分類し、ノートに記しておかなければならない。

ものを処分するだけではなく、その後に残したものの分類もするのかぁー、と思うと気が遠くなりそうだ。分類するものは少ない方が楽に決まっている。しっかりと過去と折り合いをつけて、少しずつモノを減らさなければ。

おすすめ記事

6件のコメント

  1. 簡単には片付けられないテーマですね。
    人によって処分しなければならないモノは違いますが
    私の場合は今の家業です。
    娘3人も嫁いであとを継ぐこともなくなったし
    この先絶対残しておかなければならない生業でもない。
    母はいまだ慌ただしく仕事に追われていた日々が
    懐かしく、昔は良かった~と言いますが。
    齢85歳にもなって筋金入りの商売人だと感心してしまいます。

    1. 「家業」、難しい課題ですね。
      やはり人によっては「働く」ことが元気の源になりますからね。お母様はそういう方なのですね!!
      「家業」それこそ、残すことがそれまでの「努力の証」そして「歴史」に感じてしまいますよね。でも、ずっと取っておくことが出来るもの、存続できるものは、実はそんなに多くないのかもしれません。
      「家」もそうですし。

      大切なお話聞かせていただき、ありがとうございます。
      毎週何かしら、自分の持ち物を手放したら、きちんとスッキリとしてきました!!

  2. 自分の家も片付いて無い状況ですが空き家になった実家を少しずつ整理中です。
    親の物は自分の判断で処分していますが、一人暮らしだった妹たちが嫁ぐ際に不要な物を実家に送って来た物が多くあって判断が付きかねず本人達に帰って来て整理する様に言っていますが、未だに放置されています。
    とにかく思い切って処分する事が必要と思った実家の整理作業でした(*^_^*)

    1. ご実家の整理、大変ですよね。
      こんな標準サイズの3LDKマンションですら、意外といろんな「モノ」をため込んでいるので、一軒家ともなると、、、

      今、我が家にある子供たちのものもそうですが、自分の手元に置かない時点で少なくとも「必要なもの」ではないことは確かですよね。「思い出」に過ぎず、「過去」なので、第三者が判断して処分するのもきっと一つの方法なのでしょう。
      と、思いつつ、後で「何で勝手に!!」と言われる方が面倒なので、私も子供たちに聞いています苦笑

  3. 我が家も義母の部屋の整理中です。基本その部屋に在るもの使用せずとも毎日の生活は成り立っていますので、全て処分でも何ら支障無いのですが、利用出来そうなものは使ってあげるのが義母にも物に対しても礼儀かとも思いながら、ぼちぼち進めています。主人からは私が利用出来そうな物(衣類をふくめ)以外は処分で良いと言わています(笑)
    何年分かの公的領収書等の書類も半端なく、自分自身もいつの間にか、たまってしまう嫌、ためてしまう?(苦笑) これらの処分方法も計画的にすべきと再認識していますよ。

    1. 自分のものですら、決心するのに時間がかかるのに、お義母様の部屋の整理となると、、、大変ですね。
      >>利用出来そうなものは使ってあげるのが義母にも物に対しても礼儀かとも思いながら、ぼちぼち進めています。
      →大切に使えそうなモノを通して、故人を思い出す、そう言うことですね。素敵です!!

      >>主人からは私が利用出来そうな物(衣類をふくめ)以外は処分で良いと言わています(笑)
      →ご主人のこのような姿勢がないと、難しい課題ですよね。自分の両親でも判断つかないのに。ご主人も素敵です☆

      もう、長女は独立、次女も一人暮らしなので、学校関係の書類はなくなりましたが、学校関係や公的なものは1年経った時点で、まとめて処分しています。もう、記憶もあいまいになっているので泣 記憶が新しいうちにバシバシと処分する方向でやっています笑

kerocatcyan へ返信するコメントをキャンセル

coccocanをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む