嫌われる 3

嫌われる1 嫌われる 2 からの続き

姉ばかりではなく、親とも決定的な絶縁状態になったのは、長女の高校の卒業式で着る袴の相談を母にしたときだ。ちょうど5年前。娘が私の大学卒業時の袴の写真を見て、「この着物が良い」というので、貸してほしいと母に連絡した。

母の着物を私が若い頃に着て、さらに孫が着るというのに、母は「お姉ちゃんが持っているから貸せない」と言った。姉から借りられない理由は聞いても教えてくれなかった。

続けて、母は言った。成人式に姉と私が着た振袖は、姪が成人式に着た後に、姉が袖を切って訪問着にしたと。うちに二人も娘がいるのを知っていて、自分の娘にだけ着させて、袖を切ったのだ。

私は両親とも縁を切ることを選んだ。

どれだけ私は姉に嫌われているのだろう。何をしたのだろう。答えはわからない。ただ、我が子たちまでこんなことに巻き込みたくない、と強く思った。

私は長女に「着物、見つからなかったみたい。ごめんね。別の着物を選びに行こう。」と告げた。

姉は私そのものが嫌なのだと思う。私や私の家族の近況を知ることが。夫や私がどんな仕事をして、子供たちがどこの学校へ進学したか、どこへ就職したか、どういう暮らしをしているのか、そういう全てが煩わしく、疎ましくて仕方がないのだ。

女なのだから学はいらないと言われ、勉強していると家の手伝いをしなさいと中断させられ、「おしん」のような教育をされてきた。1歳にならない子を保育園に預けて働く私を「子供がかわいそう」と何度も非難し、三歳児神話を唱え、専業主婦で毎週実家に帰って来る姉を可愛がった親。

うちの子供たちは「いとこ」というものを知らない。「親戚」というものを知らない。そのことを考えると、子供たちにとても申し訳ない気持ちにもなるのだが、二人が得体の知れないモノに巻き込まれなければ、それが一番だ。

親の価値観を押し付けられることからも、姉と比べられることからも完全に解放された。

と、同時に、姉のことも両親のことも嫌っていない。感謝している。誰かに好かれるために生きていない。自分が自分を好きでいられるために私は生きている。

私の一番の関心事は他にある。一緒に海外へ旅をし、会社帰りに待ち合わせして映画を観に行くうちの娘たち。そんな微笑ましい姉妹関係が、どうかずっと長く続きますように。

おわり

おすすめ記事

4件のコメント

  1. 他のところでもコメントしましたが、お姉さん実はそこまでcoccocanさんのことが嫌いではないのかもしれません。いろいろこじれてそうなってしまったのかも。

    私も弟のことを受け入れることができるようになるまで、弟家族の近況を聞かされるのが嫌いでした。

    でもcoccocanさんとお母さんは合わないのかもしれませんね。そしてお母さんとお姉さんが結託?したことで余計お姉さんのcoccocanさんへのマイナス感情が高まったのかもしれません。マイナス感情(この場合coccocanさんを憎む—ごめんなさい)で繋がった人間関係は周りに不幸をまき散らすと私は思っています。本人達は絶対こっちが正しいと思って意固地になって大切なことが見えなくなりますよね。

    いつか何かのきっかけでお母さんとお姉さんがcoccocanさんの良いところを受け入れられるような状況になったらいいなと思います。

    私も前までは弟のことをしょうもないやつと思っていましたが、改心してからは私の方がクズだなと本気で思います。

    1. また、別のホルダーに入っていて、返信が遅くなり申し訳ありません。

      姉は私のことが「嫌い」までは行かないと思いますが、「嫌(いや)」なのだと思います。
      年子なので学校でも先生や友達にも、どうしても比べられてしまうので。どこの兄弟もそうだと思いますが。
      自画自賛ですが、割と器用に何でもできて、1歳差だと姉が先に始めたことでもあっという間に追いついて追い越してしまう。逆の立場だったらやはり「嫌」だと感じたと思います。

      姉と母が結託?しているのは確かです。二人は波長が合うのだと思います。
      もう20年以上会っていないので、現在の関係性は分かりませんが、私が知っている限りでは、ある種の共依存がある親子関係に思えました。(そんな親子関係いくらでもあると思いますし、私が人一倍自立心・独立心が強いだけかもしれません)

      これから確実に訪れる親の最後のときに顔を合わせるかどうか、が課題なのが憂鬱なだけで、21年そうであったように、一生関わらなくても何の支障がないのも確かです。

      色々と本当に親身になって下さり、ありがとうございました!!

  2. 「嫌われる1」 を読んだ後、続編を読んでからコメントをさせて頂こうと思っていました。
    一言では言い表せないのですが、coccocanさんの気持ちが理解できるというか私と重なるところがあるような気がします。
    私には一つ違いの弟がおりますが会話をする時の言葉は「兄弟じゃないみたい」と子供達に言われています。弟は私に対して敬語なんです。いずれ整理ができたら書くかもしれませんが、距離があります いや距離をとっています。
    親との関係も、以前coccocanさんは褒めてくれましたが感謝をしてでの行動ではありません。
    ご自分の考えをきちんともって教育・行動をされているcoccocanさんにはいつも感心させられています。

    1. 貴重なお話を書いていただき、ありがとうございます。
      親御さんとの関係、ご兄弟との関係、重なるところが沢山ありますね。。。
      多かれ少なかれ、トラブルが全くない肉親関係、親族関係なんてないのかもしれませんが、難しくて落としどころがなかなか見つけられません。

      ゆうび商店さんは、ご両親と同居され、弟さんとも距離をとりつつも遮断してはいらっしゃらない。本当に立派なことだと思います。

      上手く折り合いがつかない両親・姉との関係ですが、自分の子供たちをしっかりと自立・自活させて、自分なりに自分の家族を大切にしていきたいと思います。

      暖かいコメント、本当にありがとうございました。

コメントを残す

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。