
背中から虹の尻尾が自分を通過した。目の前に現れた虹の尻尾はちょっと歩けば手が届きそうだった。これがジブリ映画だったら、崖の上から家の屋根や木を渡って、波に乗って海の上まで虹の尻尾とかけっこが出来るのに。
絶対に捕まえられるはず
40代も後半、当たり前だがいろんな場所でいろんな虹を見てきたが、虹の尻尾が移動していく様子をこんなにくっきりとハッキリと見たのは初めてだ。断言できる「初めて」と。一緒にいた夫も「初めて」ときっぱりと言っていた。
日本海側の湾を見下ろす高台にいた。小雨が降り始めて山側(南側)から海に向かって風が流れて、雲が移動する。すると雨を降らせている雲と一緒に虹も動く。虹の両端の尻尾の所在地を捉えていると、その当たり前のことに驚くほど感動する。虹が海にくっきりと浮かぶところまで、虹の尻尾をずっと追うことが出来るのだ。
何にそんなに感動するの?と思われるかもしれないが、建物ばかりの首都圏で虹の尻尾など見つからない。遠くにある虹を眺めるだけだ。それでも、都会のオアシスなので十分きれいだ。「情緒の育成」にも書いた通り、近所で変わった空を見かければ親子で感動しているのだが、感動が比ではない。色の鮮やかさが全く違う。あんなに鮮やかな虹を見たのは初めてだ。
高台にいたこと、日本海側の漁師町にいたこと、空気がきれいなこと、色んな条件がなければこんなきれいな虹は都心では見られない。自分の今までの生活圏の自然の貧困さを物語っているのかもしれないが、夫と二人でメインの虹の外側にまた虹を見つけ、小学生の様に盛り上がった。そして、海の上を北上していく虹が見えなくなるまで眺め続けた。
旅行中にこんな素敵な虹に出会えるなんて、優雅な時間だ。
