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リベンジ

person waving hand at window of old train
Photo by Rabia on Pexels.com

もてない!シリーズで話した真夏のウォーキングで、途中から若干不貞腐れていた?私は石ころを蹴りながら歩いた。「本当に石ころを蹴る人っているんだ。しかも大人で。」と自分で自分に突っ込みを入れながら、しばらく石を蹴り続けた。

意外と少しは気分転換になったのだが、まぁそれ以上でも以下でもなく、周りの風景が変わるわけでも、気温が下がるわけでもなく、炎天下の中電車と田んぼの脇を歩くことに変わりはなかった。

そこで、また別の気分転換を思いついた。電車が通る度に手を振ることにした。何本もの電車に手を振り、結構な至近距離で電車は通り過ぎるのに、だれも手を振り返してはくれない。というより、窓の外を見ている人がいない。99.9%と言っても過言ではないが、みんな手元の小さい画面をのぞき込んでいる。

懲りずに何度も必死で手を振ったが収穫はなかった。誰にも気づかれなかった。いつからこんなに世の中は冷たくなったのだろう、と少ししょんぼりしてしまった。

この間、休日にサッカーへ行った帰りである。コロナで乗客が少なくなっているので、ほぼ100%座れる。途中まで座っていたのだが、そう言えば彼岸花とコスモスの咲き具合はどのくらいだろうと、GWに12㎞のウォーキングをした場所の最寄り駅付近で立ち上がって窓の外を見た。

その日の朝、駅に向かう時に見た駅前のお寺の彼岸花はもう枯れていた。彼岸花はwakasahs15thさんの情報通りもう遅いのだろうな、コスモスはどうだろう、と思いながら電車の外を必死に眺めてコスモスと彼岸花を探した。

コスモスは見頃だった。真っ赤な彼岸花も少し見えた。彼岸花はもう遅いかもしれないけれども、コスモスはまだ大丈夫かもしれない。そんなことを考えていると、駅に着く直前に線路沿いの道で手を振っている2歳くらいの男の子がいるではないか。両親に祖父母と5人でいる。

私はそれを見て、電車の中から手を振り返した。それを見つけてくれて、5人全員で大きく手を振り返してくれた。電車がホームに入るまでずっと手を振ってくれた。

たったこれだけのことなのだが、なんだかとっても嬉しくなった。彼らもきっと何本もの電車に手を振り続けても、振り返してもらえないでいたのかもしれない。私を見つけた瞬間の喜ぶ様子に私の方が嬉しくなった。リベンジ成功。ホッコリとする。その日の疲れが少し吹っ飛んだ。

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