夫が帰ってきて、PCを診てくれた。開口一番言った言葉は「思ったより重症だね」だった。病院で医者に「覚悟して下さい」と言われている気分だった。
次に夫が発した言葉は「なくなったら困るデータはある?」と。「今日の夕飯は何?」くらいのノリで聞いてくる。困ると言えば困るデータは沢山あるが、消えてしまったからと言って、誰かに賠償金を支払わなければならないとか、あまりのショックで1週間は寝込むとか、そこまでのものはない。というより、消えてしまったらどちらにしたってどうにもならない。
私には全く分からない作業を飄々と行う夫。いつもながら、自分の不得手な分野なので、「すごいなぁ、助かるなぁ、夫がいなかったらどこに修理に出せば良いか、それすら知らないしなぁ」と思った。その一方で「夫がいるからいつまで経ってもPCに明るくならないんだよなぁ」と自分の不得手な理由をちょっと夫のせいにしてみる。
PCが修復作業をしているうちに、天気も良いので、おにぎりとおかずとみかんを持って、ピクニックがてら散歩に行った。散歩の途中、久しぶりに公衆電話を見つけた。夫が「注意して見ていると、ところどころにあるんだよね」と言う。でも、公衆電話があったところで、スマホに不具合があったら、誰の電話番号も覚えていない。覚えているのは実家の番号くらいである。夫と子供たちの携帯番号すら覚えていない。覚えようとは思うのが、いかんせん電話を「かけない」ので、覚えられないのだ。今の時代、電話はタッチするだけのものである。
そんな話から、出先でスマホが壊れたら家に帰れない話になった。誰かに連絡したくても、電話番号も覚えていないし、全ての買い物や交通費は電子決済かカードで支払っているので、現金も持ち歩かない。
うちの母親はとても心配性な人で、私たちは引っ越す度に新しい住所と電話番号を暗記させられた。C国にいたときは、C国の住所もだが母親の実家の住所と電話番号も暗記させられた。なので、未だにC国の住所を郵便番号まで言えるのだ。子供たちに携帯電話を持たせる前は、私も同じように子供たちに親の電話番号を暗記させていたが、今はどうだろう?私の携帯番号は海外引っ越しのため、6回も変わっている。暗記しているのだろうか。
丸一日たっぷりとかかって、PCは無事復活した。データも大丈夫であった。夫に感謝である。原因は夫にもわからなかったそうだ。原因が分からないと予防できないので困るのだが、夫はPCに負荷があまりかからない方法を教えてくれたので、予兆を見逃さないように可愛がって行こうと思う。
デジタル社会の今、改めて考えるとあまりにもPCやスマホに頼っている自分がいる。この流れは変えられないが、出かけるときは1000円札と家族の電話番号くらい、いつもポケットに入れて置かねばならない。そのくらいはしなければ。
