
りんごの甘露煮を作っていて思い出した。
小学生の頃、C国に住んでいたのだが、最後に住んだ家にはとても大きく、前にも裏庭もある「外国」らしい家だった。その裏庭には四季折々の様々な果実が収穫できた。少しずつだが、ブラックベリー・ラズベリー・野イチゴなども。
その中でもりんごの木と梨の木は特別だった。鳥と競争をして収穫するほどたわわに実をつけた。りんごと梨が食べ放題の季節がやって来るのだ。
うちの母はとても料理が上手な人だったが、スイーツ好きではなかったので、お菓子作りはあまり得意ではなかった。時々作ってくれるものはもちろん美味しかったのだが、圧倒的に料理のレパートリーの方が多く、レベルも高い。(私もスイーツ得意ではないし笑)そんな母も庭で収穫したりんごや洋ナシを良くジャムにしてくれた。
でもやはり「りんご」「洋ナシ」で思い出す母の「秘伝」と言えば、BBQソースである。私も良く作る。ちょっと痛んでしまったりんごや洋ナシを使って、にんにく・しょうが・しょうゆ・酒を入れたBBQソース。うちでも定番で、BBQをするときお客様にも喜ばれる母の味である。
今でこそ日本でも定番である豚のリブだが、40年近く前、バックリブをBBQソースに漬け込んで、炭火で焼く美味しさは格別だった。そして、デザートは丸かじりのりんごと梨。庭先のパラソルの下で、家族だけだったり、友達が来たり、C国へ来る直前は、社宅住まいだったのでとても新鮮だった。
そう、マシュマロを焼いたり、アルミホイルに包んでりんごを焼いてアイスクリームと一緒に食べたりしたのもこの時が初めてだった!! 洋ナシを知ったのもこの国が初めてだったと思う。
この家は、泥棒に入られたことのある家だ。この国は、祖母が59歳で危篤になったのにすぐに一時帰国できなかった上に、悪天候で空港で足止めを食らい、二日ほどかけてやっと母の実家にたどり着いた、そんな遠い国だ。
そんな苦い記憶もあるのだが、やはり楽しい思い出がいっぱいあった場所なのだ。
あの家のりんごは紅玉ではなかったけれども、格別に美味しかった。どうしたら鳥よりも先に美味しいりんごと梨を収穫できるか、そんな作戦を立てることも楽しみだった。懐かしい幸せの記憶。
