良いものは長く
正月に長女が帰ってきたときに、就職活動用のコートが欲しいという。夫と娘二人でデパートにも見に行ったのだが、ピンとくるものがなかったらしい。結局、私のクローゼットの中から気に入ったトレンチコートと冬用コートを1着ずつ選んで持って帰った。
娘が持って帰ったトレンチコートはさほど古くなく、と言っても、12年くらい前のものである。どこで買ったか記憶が定かではないのだが、裏地が可愛くて衝動買いした記憶があり、ヘビーユーズのお気に入りだ。家で洗えるのも嬉しい。
この冬の黒のコートはいつどこで買ったかハッキリと覚えている。1998年の冬に銀座三越で買ったのだ。同僚と一緒に仕事帰りに銀座に行ったのだが、小柄な私たちは「服のサイズ選び難しいよね」と良く言っていた。そして、その同僚に紹介されたブランドがここで、「小さめのサイズもあるんだよ」と一緒に店を覗いてみた。
彼女の付き合いで三越に行っただけなのだが、この黒のコートに一目ぼれしてしまった。試着すると、肩幅がピッタリで、袖も長すぎない。正確な金額はさすがに忘れてしまったが、24歳の私には「高い!!」という値段だった。バーゲンセールなのに、それでもこの値段か、、、と値段に怯んだのだが、こんなに着心地が良く、好きな色で、シンプルなデザインのコートにまた巡り合えるだろうか、、、と逡巡し、結局買ったのだ。その日は、このコートが火付け役となり、銀座三越でコートの他、スーツを3着新調したのもハッキリと覚えている。そのうちの1着はこれまた流行り廃りがなく、未だに大切に着ている。
当時、私たちは外資系医療メーカーの営業をしていて、「恥ずかしくない服装・持ち物」は必須だった。スーツも靴も鞄も。冬のボーナスが出るころだったので、ドドーンと買った。だって必需品?だからね。同僚のお金の使い方はもっと夢があって、いわゆる流行りのアクセサリー・カバン・化粧品など、「仕事」とは関係ないものを買っていた。あの頃、ブランドのアクセサリーを買っていたら、今頃娘たちは喜んでいただろうに。
最後にこのマフラーは私が高校生15歳のときに買ったものだ。シンプルな黒だけのマフラーが欲しくて探して、やっと見つけたものだ。女子高生とは縁のない「大人のメンズブランド」のものを購入した。それこそ値段は覚えていないが、これもまた驚くような値段で、でもとても気に入って頑張ってお金を貯めて買ったのを覚えている。
この黒のコートとマフラーはそれぞれ23年、32年以上経っているが毛玉はないし、毛羽だってもいない。コートの型崩れもない。
特に若い頃は、それなりに流行のものを買っては捨てて、、、ということをしていたのも事実ではあるが、一方で気に入ってお金を貯めて思い切って買った「良いもの」も多々ある。
全てのものを何十年も使い続けるには限度があるが、何十年も大切に使い続けられるお気に入りものを見つけられたらいいなと思う。今、私のお気に入りのコートは長女が、マフラーは次女が使っている。不思議な気持ちだがちょっと嬉しい。
私が高校生の頃に買ってもらった、次女が今使っているシングルベッド。初夏に次女が独り暮らしすることになったら持たせようかと考えている。 良いものを長く大切に。そんなシンプルな暮らしを彼女たちにもして欲しい。
それにしても、、、気に入るものは親子で被るのか笑 大切に使ってくれるならば、まぁそれでいい。
