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体力とタイミング

↑これはシングル

結婚前から、捨てるに捨てられずにいたモノがある。それは、母の花嫁道具である、55年くらい前から使っている「敷布団」だ。

知らない人も多いかもしれないが、昔の敷布団はものすごく重い。綿がたっぷりと詰まっており、とにかく重くて押入れの出し入れや、布団を干すのが億劫なのだ。

母の花嫁道具だということと、まだ使えるということで、もう20年以上捨てることができずにいた。3枚あった敷布団は、長女が大学で一人暮らししたときに、すのこ式ベッドの上に敷くように2枚持たせた。

すでにふかふか感がなくなっており、1枚だと寒いし、身体が痛いと家族から不評で、中綿を打ち直せばいいのはわかっていたのだが、軽くて暖かい布団やマットレスがこれだけ出回っている時代に、この重たい敷布団を延命するかどうかずっと迷っていた。しかも、普段は使わない布団。

次女が一人暮らしを始めたときは、私が高校の時に購入し、その後子供たちが使っていたフランスベッドをそのまま持たせ、さらに〇ト〇で真新しい敷布団(折りたためるマットレス)を購入した。驚くほど軽く、冬は暖かく、身体も痛くない。まさに「お値段以上」なのだ。

次女の家で使ってみて、軽くて暖かい今どきの敷布団が良いのはわかったが、それでも手持ちの敷布団を手放す決断はできずにいた。まだ使えるし、母の花嫁道具だし、滅多に使わないし、、と。

きっかけは些細なことで、ある日、娘が帰ってくるから布団をベランダに干そうとして、あまりの重さに「買い替えよう」と決断したのだ。とにかく重い。持ち上げるのに一苦労。

46を過ぎたころから、体力が以前とは違うことを実感し始めた。運動したり、柔軟したりしているが、年齢には抗えない。自然の摂理だ。それでも数年間は何とか上げ下ろしをしていたのだが、年末に「この先ずっとやっていく自信がない」と踏ん切りをつけた。そもそも、若い子供たちがベランダに干すのを嫌がるくらい重いのだ。

40後半になったころ、エンディングノートを用意し、自分の終わりに向けて必要なことはその都度記入し、同時にこまめにクローゼットやタンスを開け、モノを整理し捨てている。なかなか捨てられない、あきらめのつかないものがまだまだあるのだが、自力で捨てられなくなる前に、この重い敷布団は処分しようと、2024年の年末にようやく決めたのだ。

自分が死んだときに、子供たちが処分に困る・手間取るようなものは残さないようにしたい。それが今回の判断基準だ。どうしても捨てられない「思い出」関連のモノは一つの段ボールに入れ、「死んだらそのまま捨ててほしい」とマジックで大きく書いてある。

20年以上捨てるのを躊躇し、悩んだ敷布団だが、処分してしまったら意外とスッキリとした。新しい敷布団(折りたためるマットレス)はものすごく軽いし、寝心地は抜群で、家族の評判もいい。長女が一人暮らしをするタイミングで買い替えてあげればよかった、、、と思った。

長く大事に使い続けることも大事だが、年齢や体力に応じて、モノを手放し、便利なものに替えていくことは悪いことではない。たかだか3枚の敷布団だが、処分に困るものが一つ減り、妙にすっきりとした。

(余談だが、大型ごみは捨てるのにもお金がかかる。なんでも値上がりしているご時世、値上がりする前に捨てるなら今だ!と、決断の後押しとなった。)

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