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6月の満月

満月の前日、日が沈む直前。月は低いところにあり、とても大きくきれいだった。植木に水やりをしようとベランダに出たとき、大きな月が目に飛び込んできた。手が届きそうなところにあった。

あまりにも月がきれいだったし、6月下旬なのにちょっと爽やかな涼しい風が気持ちよかったので、外でビールを飲むことにした。ビールを飲み始めるころには辺りはすっかり暗くなっていて、月はより一層美しくなっていた。

きれいな月を一緒に見ようと、A国にいるときに買ったランプを出した。ろうそくのアトランダムな灯と満月一歩手前の月のバランスが絶妙だ。黄金の泡もシュワシュワしている。

月を見ながら思い出した。昔A国にいるとき、広い敷地に建てられているタウンハウスに住んでいた。敷地内には住居スペース以外に、数面のテニスコート・プール・バスケットコート・ミニサッカー場・複数の公園・ジム・ミニ図書館・ミニスーパーなどいろんなものがあって、子供たちが安全に遊べる場所だった。我が家は広い芝生とサッカー場がつながっている見晴らしのいい家を借りていた。そして、そこの庭にパラソルとテーブルを設置してもらって、しょっちゅう外で夕飯を食べていた。家族だけのときもあるが、友達を呼んで一緒に食べることも。食べ終わった後は、大人が晩酌している間、子供たちは遊びの時間だ。夏は東京よりも日が長いので、ちょっと長く外で遊べる。

ある日、隣の親子とご飯を食べた。長女と同い年の男の子の上に2つ上のお兄ちゃんがいて、食後うちの次女も含めた4人で肝試しに行きたいと言う。広大な敷地で、ちょっと行くと真っ暗な場所もあって確かに面白そうである。うちの子がまだ7歳と4歳くらいのときだったので、7歳9歳のお兄ちゃんはめちゃくちゃ頼もしい。私はお気に入りのランプを持たせ、行って良い範囲を指定し、お兄ちゃんの言うことをしっかりと聞くように伝えた。

4人は大興奮で帰ってきた。どうやら最初は慎重に持っていたランプだが、途中揺れて火が消えてしまったらしい。火が消えたら真っ暗で、大急ぎで帰ってきたと。長女は怖いもの知らずの子なのだが、次女は慎重で暗いところが大嫌いなのだが、さすが男子二人。お姉ちゃんにお兄ちゃんが二人もいるので、次女もすこぶる楽しいらしい。

次に、揺れないタイプのキャンドルと懐中電灯を持たせた。当たり前なのだが、揺れなくとも風はあるし、そもそも持ち歩くキャンドルではないので、またもや消えてしまって大騒ぎしながら戻ってきた。子供たちであれこれと、ろうそくの灯りが消えない方法を工夫している。我が子は家の中から他のろうそくを物色して来て楽しそう。数回これを繰り返して、彼らの冒険の夜はお開きとなった。

子育ては、正直、もっとああすれば良かった、こうすれば、、、と後悔がないわけがない。何をどう選んでも後悔はついてくる。反省もいっぱいだ。かわいそうなこともいっぱいしたと思う。

満月一歩手前の月を見て頭にふと浮かんだのが、賑やかな肝試しの話でとても暖かい気持ちになった。反省の方が多い子育てだったけれども、きちんと楽しかった思い出もいっぱいあるよな。そんなことを思った満月一歩手前の美しい月だった。

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