晩秋の海

目の前に海があるのに、魚を釣るわけでもなく、海水浴をするわけでもなく、毎日毎日ただただ眺めているだけ。目の前の澄んだ海で獲れる魚を毎日せっせと捌きはするものの、ただただ眺めて、散歩をするワーケーション。

これでいいのか？目の前が海だぞ！と私は毎日思っていた。学生の頃、湘南の海でサーフィンに明け暮れていた夫は何とも思わないらしい。だって、海だよ。こんなきれいな。

その日は風が強くて、早朝に歩道橋から散歩をしたら富士山がくっきりと見えた。天気は良いのでポカポカしているのだが、風が強いとやはり寒く感じられる。11月下旬だから仕方がない。散歩の帰り海辺によると大島もくっきりと見えた。風が強く波もそこそこ高め。でも釣りをしている人は結構いる。

「足だけ海に入ろうよ」といくら誘っても、首を縦に振らない夫。元サーファーとは思えない。こんなにきれいだったら入ってみたいじゃないか。足くらい。

夫が忙しく、休みなく、オンラインミーティングをやっている間に、私はちょっときゅうけいがてら海へ。宿のビーチサンダルを履き、ズボンのすそを膝までめくって。正直、、、ちょっと寒い。嫌、普通に寒い。でも、海だよ。

覚悟を決めて、波が足まで浸かるのを待った。待っている間が一番寒い。砂？砂利？が痛い。波が足まで来る瞬間、身体に力が入ってしまったのだが、あれ？全く冷たくない。

波打ち際に立っているだけで、童心に帰る。足元まで伸びて来るかどうかわからない波に、ついついはしゃいでしまう。全く飽きない。束の間の波との鬼ごっごを楽しみ、ジャリジャリの足のまま宿のデッキへ。足を水で洗ってタオルで拭いて、そのまま家に入り、またコンピュータの前で仕事をする。

うん、なかなか贅沢なリフレッシュ。